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2010年1月14日 (木)

『諸君』平成十八年十月号 酒井信彦東大教授 「男系天皇絶対論の危険性―女系容認こそ日本文明だ―」

 初めて読んだとき、デタラメきわまる論理構成と最後のオチに、私は眩暈がするような衝撃を受けた。これは、高校生のレポートではない。文壇の檜舞台に掲載された、天下の東大教授が書いた論文である。

以下に概説する。

神武天皇は神話上の人物であるから、そのY染色体がどうのこうのを論ずるのはおかしい、という屁理屈。

→反論するのもばかばかしい。同じY染色体が継続してることが大事なのだ。たとえば、天智天皇と後白河法皇と今上天皇と悠仁殿下のY染色体は同一である。その連続性こそわれわれが守るべきものだろう。なお、万世一系をY遺伝子の連続性として問題提起したのは、蔵琢也「天皇の遺伝子ー男にしか伝わらない神武天皇のY染色体」廣済堂出版である。

「染色体論を徹底させるとどうなるか、男系論者は真剣に考えたことがあるのでしょうか。すると、皇統は神代ではなくて猿に繋がってしまう。」

→あまりにも使い古されたレトリック。なんというか、皇統廃絶に懸けるドス黒い執念を感じますね。

日本の庶民は、娘に婿養子をとることも珍しくない。だから、天皇も女系でよいという、床屋政談レベルの極言。

→皇室と庶民を、同じレベルで論じたいわけですね・・・

男系絶対主義の主張は、シナ人・朝鮮人の日本蔑視の論理に、ものの見事にぴたりと当てはまる。その論理を真っ向から肯定する、という事になります。

→勝手に日本を蔑視させておけばよいだけの話ではないか。シナや朝鮮人が怒るから、総理大臣は靖国神社に参拝するなというのと、同じ理屈ですな。

「世界中には男系で繋いできた家系などというのは、掃いて捨てても捨て切れない程あるのです。先程いいました孔子の家系がそうですし、孔子の家系だけではなくシナ人・朝鮮人の家系は皆男系で繋いできた家系なのです。男系主義はシナ・朝鮮だけではありません。日本の近くではシナ・朝鮮だけれども、アラブなどは完全にそうでしょう。その外にも世界中に男系で繋いできた家系というのは無数にある筈です。だから、天皇家は世界で唯一男系で繋いできた珍しい家系という事は全くの虚偽なのです。」

→外国のことはどうでもよい。そもそも、孔子は皇帝だったのか?中国や朝鮮で、王朝がどんどん変わったり、異民族に征服されてきた歴史を知らないのか?男系で「天皇」が長い間存在してきたからこそ、貴重なのではないか。そのあたりの庶民の家系が男系でずっと続いているのとは、訳が違いすぎる。

「男系絶対主義者が言うように、神武天皇以来のY染色体を持っているのが正式な天皇の証明であるというなら、女性天皇にはY染色体は無いのですから、女性天皇は論理的に言って、中継ぎですらありえません。その理屈を徹底させれば、歴代の女性天皇は天皇として偽者だと言わなければなりません。したがって十代八人の女性天皇は、今からでも歴代の皇統譜から削除しなければなりません。」

→女性がY染色体を持っていないのは当たり前ではないか。しかし、10代8人の女性天皇は、すべて男系あったのだ。そして、いずれも即位してから子供を産むことはなかった。女系の皇族をつくらないために、自分の人生を犠牲にしたのである。それを、「天皇として偽物」なんとか、人のせいにした上で貶める、卑劣かつ不敬。本性が垣間見られてくる。レトリックを頻繁に使うから、この著者には注意が必要である。

「今の日本人は間抜け・腑抜け・腰抜けの三抜け状態だ」

「歴史上、日本民族がこれほど馬鹿になったことは、かつて無かった」

だから、

「これこそが現在の日本が直面している最大の問題だと判断しますから、議論が沸騰している皇室典範問題については、女性天皇でも女系天皇でも、一向に構わないと考えます。」

→だったら、それまでの議論はなんだったのだろう。最後まで読んで、ずっこけてしまう。

そもそも、皇位継承についてどうでもよいと考えているなら、はじめから言及しなければよいであろう。少なくとも、論文のはじめに、そのように断り書きを入れるべきである。

それはさておき、最大の問題がある。

 東京大学とは、間抜け・腑抜け・腰抜けで、これほど馬鹿な私たち日本国民が、血の汗流して働いて納めた税金によって運営されている。そこから十分な待遇を享受しつつ、一般の国民を高所から見下す言説は、いかがなものか。辞表を出して、経済的に独立してからにしなさい!

 また、このようなスキャンダラスな水準の論文を、鳴り物入りで掲載する編集部の方針とは、読者をとことん舐めきっているのであろう。

その結果、読者が離れて廃刊になった・・・

週刊文春」や「文藝春秋」も、そろそろ危ないんじゃないの?

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コメント

酒井信彦さんという方ですか。
紹介していただいてありがとうございます。
わたしは酒井さんの方に説得力を感じました。

 まつもさま。
 コメントを頂き、ありがとうございます。これからも、こんな感じで場当たり的に書いていきたいと思いますのでよろしく。

女系天皇容認論などは理論的にも現実的にもありえない。
天皇陛下は超法規的存在であって、現にこの世にいらっしゃるのだから定義や根拠など無用だ。
今まで男系男子と男系女子のみに継承されてきたのだから今後もそうあるべきだろう。
日本民族の歴史と文化に根差す事柄を現代の常識論や法律論で考える事自体がおかしいのである。

 kaza様 
 コメントをいただき、ありがとうございます。
 他のブログも見ると、酒井信彦という学者は、保守系と分類されていることがあります。
 中国に対して強硬姿勢をとれなどと言っているから、誤認されさすい。極左なのに保守と勘違いされるのは、前原誠司外務大臣と同じでしょう。
  酒井信彦が偽装保守の極左なのは、この論文一つであきらかでしょうね。

「染色体論を徹底させるとどうなるか、男系論者は真剣に考えたことがあるのでしょうか。すると、皇統は神代ではなくて猿に繋がってしまう。」
この一言で私は彼が無神論者でアナーキストだと言うことがわかりました。

 東大教授のわりには、レトリックが下手ですよね。思想本籍が簡単にバレてしまいます。

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